IT業界に浸透しているオラクル(Oracle Corporation)社のオラクルデータベース(Oracle Database)、そのライセンスの考え方は導入サーバ種別やエディション毎に異なります。
ライセンス価格も高価ですが、購入数量を間違えるとライセンスポリシー違反など大きな問題に波及してしまうため、ライセンス数量の計算は非常に重要です。
今回、正確なライセンス数量計算のための知恵をご紹介します。(2020年7月7日現在)
1. オラクル(Oracle)社とは?
オラクル(Oracle Corporation)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州に本拠を置く、民間法人や公的機関を対象とするビジネス用途に特化したソフトウェア会社である。
主要製品は、データベース管理製品であるが、近年の本社による買収戦略もあり、データベース管理ソフトの企業から、サーバーやストレージ等のハードウェア、OS、ミドルウェア、アプリケーション等、ラインナップを拡充している。
2007年には世界で第3位のソフトウェア会社となり、2019年現在はマイクロソフトに次ぐ第2位の企業へと成長している。
日本法人は日本オラクルで、北青山に所在している。
2. オラクルデータベース(Oracle Database)とは?
一言で言うと、「データ管理ソフトウェア」のことで、二次元の表にデータを保存し、検索、更新、削除などができるというものです。
Enterprise製品には、有償オプションがつけられ、クラスタ管理やパーティショニング、パフォーマンスチューニング等を強化することができます。代表的な製品は以下の通り。
▶Oracle Database Enterprise Edition
⇒大規模なオンライン・トランザクション処理(OLTP)アプリケーション、問合せ集中処理型データ・ウェアハウスおよび要求の厳しいインターネット・アプリケーションなどのミッションクリティカルなアプリケーションに必要な、パフォーマンス、可用性、スケーラビリティおよびセキュリティを提供。
⇒Oracle Database Enterprise EditionにはOracle Databaseのすべてのコンポーネントが含まれており、有償オプション製品を購入することでさらに拡張可能。
▶Oracle Database Standard Edition 2
⇒ワークグループ、部門レベルおよびWebアプリケーションに対して、比類なき操作性、能力およびパフォーマンスを提供します。
⇒上記Enterpriseおよび下記有償オプションの機能が必要な場合は、不採用。
▶Oracle Real Application Clusters【Enterprise Edition 対応オプション】
⇒データベースのクラスタ管理用オプション。
▶Oracle Partitioning【Enterprise Edition 対応オプション】
⇒表、索引、および索引構成表の細分化を可能にするパーティショニング用オプション。
▶Oracle Diagnostics Pack【Enterprise Edition 対応オプション】
⇒Oracle環境の監視・診断に必要なツール・セット提供オプション。
▶Oracle Tuning Pack【Enterprise Edition 対応オプション】
⇒管理者および開発者がデータベース、SQL文、表領域および索引のチューニングを行ない、高いパフォーマンスを実現するための一連のツール提供オプション。
▶Oracle Advanced Security【Enterprise Edition 対応オプション】
⇒暗号化と改訂という2つの重要な予防制御機能を提供することで、機密データを保管元で保護するオプション。
▶Oracle Advanced Compression【Enterprise Edition 対応オプション】
⇒総合的な圧縮機能を提供オプション。
詳細は、「Oracle® Databaseライセンス情報ユーザー・マニュアル」ご参照。
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3. ライセンス/サポート金額
日本の場合、インターネット上に、「Oracle日本国内価格表」があります。
グローバルの変更に伴い、事前アナウンスもなく金額が変わるので、必要なタイミングで都度確認が必要です(要注意①)。
「オラクルデータベース(Oracle Database)とは?」で挙げた代表的な製品の1ライセンスあたりに加え、オラクル製品はサポートも同時に必要となります(要注意②)。左記サポートはオラクル製品が稼働する限り毎年金額が発生するとともに、更新時調整料率(PA)も必要となります。(要注意③)。
Oracle日本国内価格表(2020年7月7日時点)より抜粋
4. ライセンス数の数え方
物理サーバと仮想サーバで考え方が異なります。
物理サーバとは、1台の物理的なH/W上にサーバOSやソフトウェアを導入したサーバを指します。基本的にH/Wとサーバは「1:1」の関係です。一方、仮想サーバとは、1台の物理的なH/W上にVMware等の仮想化ソフトウェアを導入することで、「1:他」のサーバ環境を指します。
物理サーバ上
<①Standard Edition/Processorの場合>
・Processorライセンスは、名の通りCPU課金を指します。
・物理H/WのCPU数(=ソケット数)分の購入が必要です。Core数は関係ありません。
・例えば、見積対象のCPUスペックが2CPU/8Coreであれば、ライセンス数は「2つ」となります。
<②Standard Edition/Named User Plusの場合>
・Named User Plusライセンスは、利用者数課金を指します。
・最少10ライセンスが必要です。
<③Enterprise Edition/Processorの場合>
・Standard Editionと同様のスペックで2CPU/8Coreのサーバがあったとします。
・Enterprise Editionの場合は計算方法が異なり、総Core数とマルチコア適用係数というものを使用します。
・マルチコア適用計数は、CPU型式によって定義されており、例えばIntel Xeonであれば、0.5です。(資料:Core Factor Table)
・よって、ライセンス数=総コア数×マルチコア適用計数=8×0.5=「4つ」となります。
<④Enterprise Edition/Named User Plusの場合>
・③に対し、利用者数(最少25)を乗算します。
最少ユーザ数と仮定すると、ライセンス数=総コア数×マルチコア適用計数×ユーザ数=8×0.5×25=「100個」となります。
上記で算出された数量に国内価格表のライセンスおよびサポートの価格を乗算することで、必要価格が算出されます。
仮想サーバ上
仮想サーバにオラクルデータベース(Oracle Database)を導入する場合、物理筐体のCPU課金となります。
物理サーバが8CPU/96Core、オラクルデータベースが稼働する仮想サーバCore数が32Coreだとしても、8CPU/96Coreをベースとしたライセンス数量計算となります。
<①Standard Edition/Processorの場合>
・Processorライセンスは、名の通りCPU課金を指します。
・物理H/WのCPU数(=ソケット数)分の購入が必要です。Core数は関係ありません。
・上記で言えば、8CPUなので、ライセンス数は「8つ」となります。
<②Standard Edition/Named User Plusの場合>
・Named User Plusライセンスは、利用者数課金を指します。
・最少10ライセンスが必要です。(物理サーバと同様)
<③Enterprise Edition/Processorの場合>
・Enterprise Editionの場合は計算方法が異なり、総Core数とマルチコア適用係数というものを使用します。
・マルチコア適用計数は、CPU型式によって定義されており、例えばIntel Xeonであれば、0.5です。(資料:Core Factor Table)
・よって、ライセンス数=総コア数×マルチコア適用計数=96×0.5=「48個」となります。
<④Enterprise Edition/Named User Plusの場合>
・③に対し、利用者数(最少25)を乗算します。
・48×25=「1,200個」となります。
仮想サーバ分だけと思いこんで計算してしまうと、大幅にライセンス数が不足し、結果、ライセンスポリシー違反となりますので、気を付けて算出しましょう。
なお、データセンター上で、VMotion等で行き来する可能性があるものは、全て課金対象となるので、少しでも不安に思ったら、オラクル社の担当営業に必ず聞いてみましょう!
5. まとめ
オラクル社製品のうち、データベースに関するライセンス数量の見積方法をご紹介しました。
ぜひ、ご参考にして、間違えない様、留意して的確な見積を実践して下さると幸いです。